乳幼児突然死、遺伝子変異との関連示唆する初の論文発表
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【3月30日 AFP】乳幼児が突然死するリスクは、呼吸筋に関連した遺伝子のまれな突然変異で高まる可能性があることが、29日に発表された論文で明らかになった。
英医学誌ランセット(The Lancet)に掲載された論文は、乳幼児の主な死因の一つ、乳幼児突然死症候群(SIDS)が遺伝子と関連している可能性を初めて指摘した。
SIDSは健康に見えた乳幼児が生後1年以内に原因不明の死に見舞われるもので、生後2~4か月の子どもに発生することが多い。
英米の専門家らが実施した研究は、乳幼児突然死で重要な役割を果たすと考えられている呼吸筋に影響を与える「SCN4A」遺伝子に着目した。
この遺伝子の突然変異が発生する割合は10万人に5人以下。乳幼児突然死症候群で死亡した278人からは4件の遺伝子変異が見つかったが、健常者を対象とした並行群729人からは1件も見つからなかった。
ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London)のマイケル・ハンナ(Michael Hanna)教授は「われわれの研究は、脆弱な呼吸筋の遺伝子的原因とSIDSを最初に関連付けたもので、これが示唆しているのは、この条件下では呼吸筋機能を制御する遺伝子が重要であり得るということだ」と指摘している。
■安全な寝かせ方も不可欠
SCN4A遺伝子は呼吸筋の中にある重要な細胞表面受容体に指示を与えており、その活動は誕生時は低調だが、最初の2年間で活発になっていく。この遺伝子の突然変異が、一連の遺伝的な神経筋疾患とともに、致命的な呼吸の一時停止や呼吸を一時的に困難にする可能性のある声帯のけいれんなどを引き起こす可能性がある。
研究は欧州系の乳幼児のみを対象としたものであるため、論文著者らは、疑いが持たれるSCN4A遺伝子変異がおおむね一般的である他の人種集団でも、同じ研究を実施する必要があると強調している。
論文はまた、遺伝子が乳幼児突然死の唯一の要因ではないことはほぼ確実だと指摘、乳幼児の命を守るためには安全な寝かせ方が不可欠だと強調している。(c)AFP