【3月30日 AFP】英イングランド南西部ソールズベリー(Salisbury)でロシア人元二重スパイとその娘が神経剤によって襲われた事件で、親子が治療を受けている地元病院は29日、娘のユリア・スクリパリ(Yulia Skripal)さん(33)が重体の状態を脱したと発表した。英BBC放送は、ユリアさんが意識を取り戻し、会話していると伝えている。

 病院は、ユリアさんは「急速に回復しており、もう重篤な状態にはない」と説明。容体は「安定している」とした。父親で元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏は依然として重体だが、容体は安定しているという。

 事件に関連し先週、裁判所で行われた審問では、ユリアさんは意味をなす形での意思疎通ができなく、セルゲイ氏はまったく意思疎通ができないことが明らかにされていた。

 今月4日に起きた同事件について、英国はロシアに責任があると非難。一方のロシア政府は関与を否定しており、ロシアと欧米諸国の関係が悪化している。

 英当局は、襲撃に使用された毒物はソ連が開発した神経剤「ノビチョク(Novichok)」だったと発表している。これが事実なら、第2次世界大戦(World War II)以降、欧州で初めて化学兵器が使われた事例となる。(c)AFP/Robin MILLARD with Anna MALPAS in Moscow