【3月30日 AFP】(更新)ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は29日、英国で起きたロシア人元二重スパイの暗殺未遂事件を受け米国が実施したロシア外交官追放への対抗措置として、ロシアに駐在する米外交官60人を国外退去処分とし、在サンクトペテルブルク(St. Petersburg)米総領事館の閉鎖を命じると発表した。

 ラブロフ外相はモスクワでの記者会見で、「報復措置」の実施を米大使に通達したと説明。この措置には「同人数の外交官の追放と、在サンクトペテルブルク米総領事館の活動に対する許可取り下げの決定が含まれる」と述べた。米政府はこれに先立ち、ロシア外交官60人の追放と、在シアトル・ロシア総領事館の閉鎖を命じていた。

 事件では、英イングランド南西部ソールズベリー(Salisbury)で、ロシア人の元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘のユリア(Yulia Skripal)さん親子が神経剤で襲われた。英国はロシアが事件に関与したと非難。米国以外にも多くの国が、英国への支持を示すためロシア外交官を追放している。

 ラブロフ外相は、ロシアはそうした国々にも報復措置を取ると表明。ロシアは「いわゆるスクリパリ事件を口実に、英米からの非常に厳しい圧力の下でわれわれに対して取られた絶対に受け入れられない行動」に対処すると述べた。

 同外相は、英国が29日、ユリアさんの容体をロシア政府に伝えたと述べ、ロシア側は一市民であるユリアさんとの面会を求めたと明らかにした。同外相は、「われわれは(毒殺未遂事件の)真実を証明したい」と言明し、英国は「国際法をばかにしている」と非難した。(c)AFP