W杯開催国ロシアでポグバらが人種差別の標的に、FIFAはすでに調査開始
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【3月29日 AFP】フランスのローラ・フレセル(Laura Flessel)スポーツ相が28日、敵地ロシア・サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)で行われたW杯(2018 World Cup)開催国ロシアとの親善試合で、自国のポール・ポグバ(Paul Pogba)とウスマン・デンベレ(Ousmane Dembele)を標的とした「許されざる」人種差別行為があったとして非難した。
フレセル氏はツイッター(Twitter)で人種差別行為があったと指摘。国際サッカー連盟(FIFA)は、W杯開幕まで3か月を切る中、ロシアで新たな人種差別の問題が生じたとして調査に乗り出したと明かしている。
五輪のフェンシングで金メダルを2個獲得しているフレセル氏は、「サッカーのピッチに人種差別の場所はありません」「欧州、そして世界レベルでこの許されざる行為に終止符を打つために団結し、行動する必要があります」と見解を示した。
フランスが3-1で勝利した27日の試合の後半、AFPのカメラマンはデンベレを標的とした猿の鳴き声のやじを耳にし、インターネットではポグバに向けられた差別的なやじがあったと投稿された。
FIFAの広報は「メディアから差別的行為の明白な証拠を集めている」とすでに調査に乗り出したことを明かしたが、入手した情報を精査するまでコメントを差し控えるとした。
またFIFAは、欧州サッカーの反人種差別団体(FARE)の報告を待っている段階だとしている。FAREの職員はスタジアムでこの試合を観戦していたという。
AFPが接触したフランスの選手、スタッフは人種差別行為についてコメントを残さなかった。また、ロシア当局は28日、差別的なやじは耳にしなかったと話したが、調査の準備を進めているとした。
ロシア紙スポーツ・エクスプレス(Sport Express)によると、ロシアサッカー連合(RFS)の治安委員長を務めるウラジーミル・マルキン(Vladimir Markin)氏は「もしこの情報が確認されれば、当然ながらわれわれは映像、そして試合に関係するほかのものすべてを検証する。判断はその後で下す」と話したいう。
W杯ロシア大会は6月14日から7月15日まで開催され、サンクトペテルブルクの6万8000人収容のスタジアムでは、準決勝1試合をはじめ7試合が行われる。
ロシアサッカー界には人種差別行為がまん延しており、FIFAはその状況を注視している。FAREは2016-17シーズンにロシアで行われた試合で、89件の人種差別行為などが確認されたと報告している。
直近では今月、ロコモティフ・モスクワ(Lokomotiv Moscow)に所属する、ブラジルから帰化してロシア代表としてプレー経験のあるGKギリェルメ(Guilherme Alvim Marinato)に対する差別的なチャントがあったとして、RFSはスパルタク・モスクワ(Spartak Moscow)に1試合のホームスタジアム使用禁止処分を科している。(c)AFP