【4月1日 東方新報】中国で人気を博しているインターネット文学。内容が低俗で品質も低いと批判する人は少なくないが、インターネット文学の「善し悪し」はどのように判断すればいいのだろうか?

 中国のインターネット小説家長者番付でたびたびトップに名を連ねる作家、唐家三少(Tang Jia San Shao)氏は、インターネット作家としての最低ラインについて、「自分が書いたものを子どもに見せられるかどうかだと思う。ポジティブになれる内容が、広く読まれる」と話す。

 統計によると、中国のインターネット文学市場規模は2016年末で90億元(約1517億円)に達し、産業規模は20%以上の年成長率を12年から保っているという。

■ファンタジーや仙人目指す「仙侠」ものが人気

 中国のビッグデータリサーチ最大手のアイリサーチ(艾瑞諮詢、iResearch)が公表した2017年「中国インターネット文学海外進出白書」によると、インターネット小説の輸出先は、最初に進出した東南アジア、次いで日韓、その後に米、英、ロ、トルコなど欧米諸国へ広がり、10か国語に翻訳されている。ジャンル別では、ファンタジー、仙人を目指す「仙侠」もの、歴史、恋愛小説などが海外で人気がある。

 中国の青年評論家の夏烈(Xia Lie)氏は、「インターネット文学が若者から人気を集めている現状には、サブカルチャーが若者の主流文化になりつつあることが背景にある。以前若者に人気があったのは武道を極める人たちを描いた武侠小説で、その時代の若者が自由奔放に生きたいと望んでいたことの現れだったことと同じだ。社会を管理する者は見落としてはいけない点だ」と指摘する。

 南京師範大学(Nanjing Normal University)文学院の何平(He Ping)教授は、「インターネット文学はインターネット文学であり、従来の伝統的な文学に含めることはできない。インターネット文学が中国文学に大きく貢献した点は、ジャンル別文学という新境地を開拓したことだ。また、インターネット文学の作者にも読者にも、作品の最低ラインが存在し、低俗な文学はボイコットするということが共通認識になってきている」と話した。(c)東方新報/AFPBB News