【3月28日 AFP】英国で発生したロシア人の元スパイに対する毒殺未遂事件を受けて、ロシア人外交官を国外追放する動きが広がる中、北大西洋条約機構(NATO)は27日、ロシア人職員らの追放に踏み切った。英政府は、今回の事件が欧米とロシアとの関係性の「転換期」をもたらしたと指摘している。

 NATOはロシア人職員7人を追放し、さらに3人に対する認証を拒否。これにより、スパイ容疑で追放処分とされたロシア人の数は最初に英政府が追放した23人を含めて世界全体で計150人近くに上った。

 ブリュッセルのNATO本部で記者会見したイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)NATO事務総長は、「ロシアに対し、同国の容認し難い行動様式には代償と結果が伴うという明確なメッセージを送るものだ」と述べた。

 英南部ソールズベリー(Salisbury)でロシア人の元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘が襲撃された事件をめぐっては、英政府の対応に少なくとも25か国が同調し、異例の連携が取られている。

 この25か国には米豪加やウクライナに加え、独仏など欧州連合(EU)に加盟する18か国が含まれる。直近では27日夜、ベルギーがロシアの外交官1人の追放を発表した。

 外交アナリストのフョードル・ルキヤノフ(Fyodor Lukyanov)氏はロシア日刊紙ベドモスチ(Vedomosti)への寄稿で、「ロシアと欧米との関係は、全面的な冷戦(Cold War)時代に突入しつつある」と書いた。(c)AFP/Alice RITCHIE