「ロシア人スパイは追放!」と思ったら居なかった… NZ
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【3月27日 AFP】ニュージーランド政府は27日、英国で発生したロシア人の元スパイに対する毒殺未遂事件を受け、同国で暗躍するロシア人スパイを国外追放しようとしたところ、追放すべきロシア人工作員が存在しないことが判明したと発表した。
英南部ソールズベリー(Salisbury)でロシア人の元二重スパイ、セルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘が神経剤で襲撃され、意識不明の重体となっている事件の発生後、米加豪の3か国および一部の欧州連合(EU)加盟国が、ロシア人外交官らに対し一斉に国外退去命令を出した。
旧英自治領で現在は英国と強固な同盟関係にあるニュージーランドも、自国に在するロシア人外交官を追放して原則支持の姿勢を示そうとしたところ、同国内ではロシア人による情報活動は行われておらず、従って講じられる手だてが皆無に等しいと認めた。
ジャシンダ・アーダーン(Jacinda Ardern)首相は国営ラジオで「ニュージーランドでも調べた結果、ここにはロシア人工作員は居ない。居れば国外追放するのだが」と話した。
「各国の思惑が錯綜(さくそう)する時にあって…わが国がロシアの情報活動の優先順位の上位に置かれていないことが驚きに値するだろうか。正直、そうでもない」と本音を漏らした。
アーダーン首相は、同事件をめぐり「国際社会と連携していくためにわが国ができる活動を引き続き模索していく」という方針を示した。
スクリパリ氏と娘の毒殺未遂は、第2次世界大戦(World War II)以降欧州で初めて神経剤が用いられた襲撃事件とみられているが、ロシアは関与を否定している。(c)AFP