【3月29日 AFP】カメルーンで自由を勝ち取るには銃を取るしかない。ビクター・オビさん(25、仮名)は生まれて初めてそう信じるようになった。「死にたくはないが、独立なしにわれわれに未来はない。そして、やつらが独立を与えることはない」

 オビさんのふるさとで、当局は英語圏独立派を弾圧した。オビさんは、そこから数キロしか離れていないナイジェリアの小さな村で野営生活を送っている。「やつらは私のきょうだいを2人殺した」。声に激しい憎しみがにじむ。「もう失うものはない」

 昨年12月、オビさんのふるさとカジフ(Kajifu)村周辺の深い森に分離独立派の大規模な訓練キャンプがあるとして兵士らが村を襲い、分離独立派と見なした人たちに向けて無差別に発砲したという。

 カジフはカメルーンの英語圏2州のうち1州に位置する。英語圏は、フランス語を話し同国で支配的な地位を占めるエリート層からの独立を追求してきた。

 昨年10月1日、分離独立派は英語圏2州が「アンバゾニア(Ambazonia)」という共和国として独立したと一方的に宣言。カメルーン総人口の約5分の1を占める少数派の英語話者にとって一つの転機となった。

 カメルーンのポール・ビヤ(Paul Biya)大統領は、反体制派を根絶すべく戦闘ヘリと装甲車両を伴う軍部隊を派遣。数万人の住民が隣国ナイジェリアに避難した。

 AFPの集計で今年2月半ばまでに少なくとも26人の兵士が死亡した。非政府組織(NGO)や独立系メディアの現地入りが禁じられており、民間人の死者数は明らかになっていない。