【3月27日 AFP】母国開催となったサッカー親善大会の中国杯(2018 China Cup)で同国代表チームが2試合連続の大敗を喫したことを受け、幻滅したファンが協会に非難の声を上げている。中国国内では、代表選手が試合中にタトゥーを見せることを禁止されたとの報道が出たさなかだった。

 0-6で大敗した先週のウェールズ戦と1-4で敗れた26日のチェコ戦では、試合に出場した複数の中国代表選手が腕にスリーブをつけたり、包帯を巻いたりするなど、一見してタトゥーを隠している姿があった。

 複数メディアの報道によれば、選手は中国代表としてプレーする時はタトゥーを隠すよう告げられたといい、代表チームの中で最も多くのタトゥーを施している張琳ペン(Zhang Linpeng、チャン・リンペン)は普段ならCBの第1候補だが、ホームで苦杯をなめた今回の2試合はいずれも欠場した。公式には故障が欠場の理由とされているが、一部のファンは、腕や首に入れた数多くのタトゥーがメンバーから外れた原因ではないかと示唆している。

 他の国と比べれば、一般的に中国のサッカー選手はそこまでタトゥーに熱心ではないが、人気の高まりは、中国共産党の「価値感や道徳」に反する行為を規制する政府の目も引きつけている。

 チェコ戦では、MF蔡慧康(Cai Huikang、サイ・ケイコウ)がタトゥーを覆うために両腕にスリーブを着用し、途中出場した韋世豪(Wei Shihao、ウェイ・シーハオ)も同様に包帯で二の腕のタトゥーを隠した。

 現在までに中国サッカー協会(CFA)は公式にタトゥーを禁止してはいないが、罰則が設けられるようになるのは時間の問題だと地元メディアは伝えており、仮にそうなればタトゥーを入れた中国のスポーツ選手にとって大きな動きになり得る。

 中国代表は2016年10月にマルチェロ・リッピ(Marcello Lippi)氏が監督に就任して以降成長を遂げてきたが、69歳の指揮官は今夏に開催される2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)にチームを導くことはできなかった。そして、今回新たに5日間で2敗を喫した監督は謝罪し、「中国サッカーと欧州サッカーの差が大いに反映された試合だった」と語った。

 また、上海を拠点とするニュースメディア「澎湃新聞(The Paper)」は、2006年のW杯ドイツ大会(2006 World Cup)で母国イタリア代表を優勝に導いた同監督の言葉として、「フランスやスペイン、ドイツといった欧州のトップクラスのチームと比較しているだけでなく、ウェールズやチェコといった他の欧州の国々と比べても、あらゆる面で差がある」と伝えた。

 しかしながら、中国のサッカーファンは選手のタトゥーでなく、代表チームの現状にもっと関心を持つべきだとCFA側に指摘しており、中国版ツイッター(Twitter)のウェイボー(微博、Weibo)では、「ついにCFAが中国サッカーの問題をみつけた!次なるステップはパーマ、喫煙、ヘアスタイルの禁止だ」「彼らのプレーはゴミみたいだが、CFAは原因を考える代わりにタトゥーを禁止しようとしている…」といったあざけりの声が聞こえている。(c)AFP/Peter STEBBINGS