【4月1日 東方新報】近頃、中国では児童・生徒や教師たちが学習系アプリをどんどん取り入れており、保護者たちも注目している。全国人民代表大会(全人代)に出席していた陳宝生(Chen Baosheng)教育部長は記者会見の際、「学校、課外、試験、教師、家族、社会」の五つの領域で負担削減を図る必要があると話している。

 基礎教育段階では、知識を学ぶ上で宿題に頼らざるを得ない。従来の教育方法では宿題を通して児童・生徒に知識を覚えさせ、教師は宿題を通して理解度を確認した上で次の段階に進むという方法を取っていた。

 しかし宿題の量は増える一方だ。保護者の協力が必要な「親の宿題」と化してしまっている。こうした背景が、学習アプリを育てたと言っても過言ではない。

 中国の学習アプリを提供する教評網(jiaoping.com)が発表した「親が利用する教育モバイルアプリ分析報告2017」によると、7割以上の保護者が教育関係のアプリをインストールしたことがあるという。中学生の子どもを持つ保護者がよく利用するのは宿題の指導や数理科の学習アプリで、80%以上が身近な保護者や教師の勧めでインストールしていることがわかった。

 小学生の子どもを持つ任さんは、「一起作業(一緒に宿題しよう)」というアプリを2年以上利用している。アプリは学校で使用する教科書に合わせた内容で、関門を突破していくゲームのような構造だ。

 ほかのユーザーとの「対戦モード」などもあり、子どもたちが飽きないよう工夫されているという。「催促しなくても自主的に勉強している。学校の授業の進度よりも進んでいるので、テスト前にたくさん時間をかけて復習する必要もないだろう」と話している。

 小学校3年生の郭君も、「一起作業」の愛用者だ。郭君は、「写真や絵もたくさんあるし、関門突破のゲームも面白い。前は英語が大嫌いな『怠け者』だったけど、今は英語の勉強が楽しみ。自分から進んで宿題を終わらせる『秀才』になったみたい」と喜ぶ。英語の発音も上達し、単語量も増え、郭君の両親も満足しているという。

 教師にとっては、どのようにITの力を借りて教育の効率を高め、児童・生徒の個性を育てるかが鍵になってくる。

 宿題の割り振りや採点といった作業から、児童・生徒からの個別に寄せられる質問、苦手な箇所への対応といった細かい作業がすべて人工知能(AI)化したアプリに取って代わられた時が、教師の真の価値を発揮する時だ。

 そんな中、オンライン教材に対する論争も後を絶たない。教育アプリ「一起作業」の関係者は、「時代が移り変わり、知識を伝える媒体も変化しているが、人間が学習する習慣と態度は変わらない。どんなものにも二面性があり、改善し続けることで完成に近づく。教師と保護者が正しい方向へ導くことで、児童・生徒たちが合理的にアプリを活用できるようになって欲しい」と話している。(c)東方新報/AFPBB News