【3月22日 AFP】カナダ政府は21日、公共サービスの文書や記入用紙に「母」「父」という用語を使うのをやめ、今後は性別に区別のない「親」を使用するとの指針を明らかにした。

 指針によると、公務員が市民の名前を扱う際にはフルネームを使用し、「ミスター」「ミセス」「ミス」を使う時には当人の希望を事前に確認することが求められるという。

 ジャンイブ・デュクロ(Jean-Yves Duclos)家庭・子供・社会開発相のマチュー・フィリオン(Mathieu Filion)報道官はAFPに対し、カナダ政府が今後、全ての文書を「性別中立に」する意向だと述べた。

 この方針はジェンダー(文化・社会的性差)や社会における平等拡大を推進する政府の姿勢とも一致している。カナダではジェンダーの平等を目指す動きとして、国歌の歌詞が「汝の息子すべて」から「われわれすべて」に変更された。

 またジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は以前、市民集会で「mankind(人類)」という言葉を使わずに「peoplekind」と言うべきだと語ったこともある。

 フィリオン報道官によると、東部ノバスコシア(Nova Scotia)州の同性カップルが役所で子どもの社会保険番号を申請した際にどちらが母親でどちらが父親かと聞かれ、不服を申し立てたことが指針策定の契機になったという。

 同報道官は「これからは、私たちは親の氏名を尋ねるだけになる」と述べた。(c)AFP