【3月21日 AFP】フランス人がついに、米国発の人気ファストフードにひれ伏した──。フランス国内でのハンバーガーの年間販売総数が、同国の定番食であるサンドイッチ「ジャンボン・ブール」を初めて抜いたことが分かった。

 首都パリに拠点を置く外食産業のコンサルティング会社「ジラ・コンセイユ(Gira Conseil)」の調査によると、ハンバーガーは昨年、国内レストランの85%で提供され、販売総数は15億個に達した。一方、バゲット(棒状フランスパン)にバターを塗りハムを挟んだジャンボン・ブールの販売総数は12億個だった。

 フランス料理の愛好家にとってさらに懸念をあおるのは、ファストフード店で販売されたハンバーガーは全体の3割にすぎず、大多数が一般のレストランで消費されたという事実だ。

「ル・バーガー(le burger)」という表現もフランス語としてほぼ定着しており、レストランの多くでは、プラスチックのようなチェダーチーズではなく、ロックフォールなど同国を代表するチーズを使ったバーガーを提供している。

 これは自国の食文化に強い誇りを抱き、世界的なハンバーガーブームにこれまで何年も抵抗してきたフランスにとっては一大ニュースだ。

 ジラ・コンセイユのディレクター、ベルナール・ブーブール(Bernard Boutboul)氏も、「フランスでハンバーガーが、わが国の有名なステックフリット(ビーフステーキのフライドポテト添え)にさえ、いずれ取って代わるのだろうかとも疑ってしまう」と話している。

 ツイッター(Twitter)上ではこのニュースを受け、「この国はどこへ向かっているんだ?」と嘆く声や、ディズニーランド・パリ(Disneyland Paris)を念頭に「皆ミッキーマウス(Mickey Mouse)の耳を付けてばかばかしい遊園地に行くことになるんじゃないか」とぼやく声が上がっている。(c)AFP/Anne-Sophie MOREL