ロシア人科学者、神経剤「ノビチョク」開発に関与と証言 政府主張と矛盾
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【3月20日 AFP】英国でロシア人元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏が襲われた事件で使用されたとされる強力な神経剤「ノビチョク(Novichok)」をめぐり、ロシアの国営メディアに登場した同国人科学者が20日、この神経剤を製造する公的なプログラムに携わったと語った。ロシア政府は先日、ノビチョク開発計画への関与を否定しており、科学者の証言と矛盾することになる。
1990年代初頭まで政府の支援を受けた計画に従事したと話すレオニード・リンク(Leonid Rink)氏は、国営ロシア通信(RIA)のインタビューで、スクリパリ氏と娘のユリア(Yulia Skripal)さんについて、毒殺にロシア政府が関わっているのであれば2人の命はなかったはずだとの見解を示した。
リンク氏は「2人はいまだに生きている。ということはノビチョクを使っていないか、下手な話がでっち上げられたか、不用意に行われたかのどれかだ」と指摘。
また、「事件直後、英国人は解毒剤を使用した。この場合、何の毒物か正確に知っている必要があっただろう」との見解も示した。
その一方でリンク氏は、閉鎖都市シハン(Shikhan)の国立研究所に27年間勤務し、同地とモスクワでは「大人数の専門家グループがノビチョクに取り組んでいた」とも述べた。
ロシアのセルゲイ・リャブコフ(Sergei Ryabkov)外務次官は先週、ロシア政府によるノビチョクの開発計画は一切なかったと明言している。(c)AFP