【3月20日 AFP】世界銀行(World Bank)は19日、気候変動を放置し続けた場合、30年後には凶作や干ばつ、海面上昇から逃れる移民が大量に発生すると警告する報告書を発表した。気候変動に起因する移民問題の報告書は初という。

 報告書によると、2050年までに1億4300万人の生活が脅かされ、移動を余儀なくされるという。アフリカのサハラ以南で8600万人、南アジアで4000万人、中南米で1700万人となっている。

 途上国の人口の半数以上がこれらの地域に居住しており、住民の2.8%が気候変動リスクにさらされる恐れがあるという。

 世銀のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ(Kristalina Georgieva)最高経営責任者(CEO)は声明の中で、気候変動が止めようのない移民を生み出す力となり、個人や家族、さらには地域社会全体が生存可能な地を求めての移動を余儀なくされると警告。その一方で「温室効果ガスの削減や将来を見据えた開発計画といった世界的な行動を起こせば多くの気候移民を減らせる」と強調した。

 報告書によると、2050年までにエチオピアの人口が2倍になる一方で、作物の収穫量が減少し移民が増加するという。バングラデシュでは国内避難民の中で気候移民が占める割合が最大となる。また、メキシコでは居住が困難になった地域から都市部への人口流入が加速するとみている。(c)AFP