英国、ロシア外交官23人を追放へ 元スパイ襲撃で
このニュースをシェア
【3月15日 AFP】英国で発生したロシア人の元二重スパイに対する毒殺未遂事件に関し、テリーザ・メイ(Theresa May)英首相は14日、英政府はロシア政府に事件の「責任がある」と判断したと述べ、同国外交官23人を国外退去処分とすると表明した。また、サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会への王族や閣僚の出席を含め、高官級でのロシア側との接触を停止する意向も示した。
事件は英イングランド南西部ソールズベリー(Salisbury)で4日に発生し、セルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘のユリアさんが神経剤で襲われた。ロシア側は事件への一切の関与を否定。同国外務省は、メイ氏の声明は「挑発」だと述べ、「対抗措置」を取ると表明した。
メイ首相は議会に対し、ソ連製の神経剤「ノビチョク(Novichok)」が事件で使われた経緯を説明するよう求めた自身の要求に、ロシア側は応じなかったと指摘。事件を受けて14日中に米ニューヨークで開かれる国連安全保障理事会(UN Security Council)の会合で、「国際社会の強固な対応」を求めると述べた。
メイ氏はまた、密かに情報活動に従事しているとされるロシア外交官23人は1週間以内に英国を離れなければいけないと表明。セルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)ロシア外相に対する訪英の招請を含め、計画されている高官級の接触をすべて停止し、6月に開幕するW杯ロシア大会へも英国の王族や閣僚が出席しないことを明言した。一方で、ロシアと全面的に断交したいわけではないとも述べている。
さらにメイ氏は、「敵対的な国家活動」に従事していると疑われるロシア人を取り締まると言明。英国内の資産凍結や、国境到着時の身柄拘束といった措置を取ると宣言した。英外務省は、外交面での緊張の高まりにより、ロシアを訪れる英国人は嫌がらせを受ける恐れがあると警告している。(c)AFP/Alice RITCHIE