理髪店で薬剤師と面談、米黒人の高血圧抑える助けに 研究
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【3月13日 AFP】アフリカ系米国人が集う理髪店をめぐっては、散髪だけでなく、人々が交流するための場所にもなっていることは広く知られているが、この理髪店が男性客らの高血圧を抑える助けにもなる可能性があるとの研究論文が12日、発表された。
米フロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)で開催の米国心臓病学会(American College of Cardiology)の会合で発表された研究結果によると、米ロサンゼルス(Los Angeles)の理髪店に通う地元男性客を対象に行った実験では、来店時に訓練を受けた薬剤師と定期的に面談することで、高血圧症のある人の血圧を大きく低下させることができたという。
アフリカ系米国人男性は、心臓発作と脳卒中の主要な危険因子である高血圧症の確率がほかの人種グループに比べて高く、また医師の治療を受けている確率も低い傾向がある。そのため、このアプローチを広範囲で採用することによって治療の突破口が開く可能性があると研究チームは主張している。
論文の主執筆者で、米シダーズ・サイナイ医療センター(Cedars-Sinai Medical Center)シュミット心臓研究所(Smidt Heart Institute)の副所長を務めるロナルド・ビクター(Ronald Victor)氏は、「最先端の薬剤を、それを必要としている患者のホームグラウンド──今回の場合は理髪店──で直接手渡し、投薬を便利かつ厳密にすることで、アフリカ系米国人男性も他のグループと同様に血圧をコントロールできる」と説明する。
「このモデルの規模を拡大して維持できれば、数百万の命が救われ、多数の心臓発作と脳卒中を予防できる可能性がある」
今回の研究では、ロサンゼルス郡にある52の理髪店に通う男性らを対象に実験を行った。被験者は高血圧症のある男性319人。2日間の測定値に基づく最高血圧が140mmHgを超えると高血圧と診断される。被験者は年齢が35~71歳、地元理髪店の長年の常連客で、平均でほぼ半月に1回の頻度で店に通っていた。