【3月12日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は12日、ミャンマー政府が軍の掃討作戦によって壊滅状態になったイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の集落に、治安部隊の施設を設営しているとする報告書を発表した。ミャンマー政府はラカイン(Rakhine)州北部から隣国バングラデシュに避難している何十万人ものロヒンギャの帰還を進めているが、計画に疑念を抱かせる事態となっている。

 アムネスティは報告書「ラカイン州の再生(Remaking Rakhine State)」で、ロヒンギャの集落で軍用施設やその他の建造物が今年に入って急増していると、入手した衛星写真と取材を基に指摘している。

 アムネスティで危機対応を統括するティラナ・ハッサン(Tirana Hassan)氏は施設について、「ロヒンギャが帰還すべき場所にミャンマー当局が建設をしていることを示している」と説明。また、建設において現存する家屋が破壊されたケースもあるという。

 アムネスティは衛星写真に写っているのが一部の地域であることを認めているものの、写真にはロヒンギャの帰還予定地に治安部隊の設備やヘリポート、道路が造られている様子が捉えられていると主張している。

 昨年8月にミャンマー軍がロヒンギャの掃討作戦に乗り出して以降、約70万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに避難しており、国連(UN)や米国は「民族浄化」と非難している。

 一方、ミャンマー側はロヒンギャの武装集団による襲撃の対抗措置だとしてこれを否定。ただ、ロヒンギャ迫害の口実に武装集団の襲撃を利用し、「浄化作戦」を開始したとしてミャンマー軍には非難の声が上がっている。(c)AFP