【3月11日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長との首脳会談受け入れを表明したことについて、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)元米国務長官は、トランプ政権は北朝鮮と非核化を協議するリスクを認識していないうえ、北朝鮮との交渉を仕切る能力のある経験豊富な外交官が現政権にはいないと警告した。

 発言はクリントン氏がオランダの日刊紙アルヘメン・ダフブラット(Algemeen Dagblad)とアムステルダムで行ったインタビューで述べたもの。インタビューは10日付の同紙にオランダ語で掲載された。

 前回の大統領選でトランプ氏の対立候補だったクリントン氏は同紙とのインタビューの中で、「金正恩と彼の核兵器について話すつもりなら、経験を積んだ外交官が必要だ」と述べ、そうした外交官とは「外交文書に精通しており、北朝鮮の人々や言葉も熟知している人たちだ」と説明した。

 クリントン氏はさらに、北朝鮮に詳しい外交官の多くが国務省を去り、そうした外交官が不足していると指摘。「外交官なくして外交は成り立たたない」と述べ、「トランプ政権はリスクを認識していない」と警告した。

 クリントン氏が言うところのベテラン外交官の一人、ビル・リチャードソン(Bill Richardson)元米国連大使も同様に、北朝鮮との交渉はテレビの「リアリティー番組」ではないと警告する。AFPの取材に対しリチャードソン氏は「トランプ大統領の無防備さと自制心のなさを危惧している」と述べ、「これは『アプレンティス(The Apprentice)』(トランプ氏が司会を務めたリアリティー番組)などとは違う。少なくとも核弾頭20個を保有して米国を脅迫する予測不能な指導者との交渉なのだ」と指摘した。一方、正恩氏からの会談要請を受け入れたトランプ氏の大胆な決断は「評価する」と語った。(c)AFP