世界最古の洞窟壁画、ネアンデルタール人の複雑な感性示す
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【3月31日 AFP】世界最古の洞窟壁画は、欧州に現生人類が現れる2万年以上前にネアンデルタール人(Neanderthals)によって描かれていた──。絶滅した人類の祖先も、私たちのように象徴的思考が可能だったことを示しているという。
国際研究チームが2月、米科学誌サイエンス(Science)に発表したこの研究報告は、スペイン北東部ラパシエガ(La Pasiega)、西部マルトラビエソ(Maltravieso)、南部アルダレス(Ardales)の3か所の洞窟遺跡で見つかった壁画が描かれた年代を、新技術によってこれまでで最も正確に測定したものだ。
「非常に心躍る発見だ。ネアンデルタール人が、一般に考えられているよりもはるかに複雑な感性を持っていたことを示している」と、研究報告を共同執筆した英サウサンプトン大学(University of Southampton)の考古学者クリス・スタンディッシュ(Chris Standish)氏は述べた。
「われわれが年代を測定した壁画は、これまで知られている洞窟芸術の中でも群を抜いて世界最古のものだとの結果が出た」
測定結果によれば、これらの洞窟壁画が描かれたのは約6万4000年前までさかのぼる。現生人類がアフリカから欧州にやって来たとされる時代より少なくとも2万年前だ。「ネアンデルタール人たちが描いたに違いない」とスタンディッシュ氏は語った。
これらの洞窟壁画は、赤色の顔料を中心に黒色もところどころ使われ、動物の群れや手形、彫刻、点や円盤、幾何学模様などが描かれている。こうした象徴的な表現は知性の証拠とされ、これまでは現生人類に特有の能力と考えられていた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN