【3月2日 AFP】南極半島(Antarctic Peninsula)の沖合に位置するデンジャー諸島(Danger Islands)で、世界各地で急速に生息数を減らすアデリーペンギン150万羽あまりの繁殖地が発見された。研究者らが2日、発表した。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文によると、初めてとなるデンジャー諸島での全数調査により、同島内にアデリーペンギンのつがい75万組超がいることが分かった。この数は同半島の他の地域を合わせたものより多いという。

 アデリーペンギンの生息数は地球温暖化に起因する海氷の融解により、ここ数十年で約70%減少していた。

 論文の共著者である米ストーニーブルック大学(Stony Brook University)のヘザー・リンチ(Heather Lynch)氏は今回の発見について、「間違いなく驚異的なもの」と語った。

 デンジャー群島は、西南極(West Antarctica)から突き出し、南米大陸に最も近接する同半島の沖合160キロに位置する。

 米・英・仏で構成される研究チームによれば、今回の発見は地球観測衛星のおかげで同諸島で暮らす群れを発見。

 リンチ氏はこの地域が「1年のほとんどの期間、重厚な海氷で覆われており、真夏でさえも調査のため域内に立ち入ることは難しい」と語り、こうした故に「デンジャー(危険)諸島と呼ばれている」と指摘した。

 ただ、運良く海氷が移動し、船で入れる時間があったといい、リンチ氏は「本当にラッキーだった」と述べた。(c)AFP/Mariëtte Le Roux