急成長する世界美術品市場、落札額1000億円も「時間の問題」
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【3月1日 AFP】世界の美術品市場は今、空前のブームに沸いており、絵画作品に10億ドル(約1070億円)の値が付くのは「時間の問題」とみられている。アート市場関連情報大手、仏アートプライス(Artprice)が2017年の報告書を発表し、今後の見通しを予想した。
アートプライスによると、昨年11月にレオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の絵画とされる「サルバトール・ムンディ(救世主、Salvator Mundi)」がサウジアラビアの皇太子に史上最高値で売却されたことが追い風となり、同市場は過去30年間に経験したことがない右肩上がりの状況が続いているという。
「サルバトール・ムンディによる記録は、美術市場における新時代への突入を表している。(落札額)10億ドル突破が次の大きな節目となる」「2018年には、1億7900万ドル(約190億円)~4億5000万ドル(約480億円)の間で(作品が)取引されるだろう」と同社は予想する。
世界的に増え続けている美術館もこのブームを煽る一因となっている。名だたる美術館の間で超一流作品の争奪戦が起きているためだ。報告書にも「美術館が、市場の成長を支える真の原動力であることは疑う余地がない」と記された。
2017年下半期には世界的な成長がみられた。米国とフランスでは約50%、英国では25%、中国では20%と売り上げを伸ばした。同社によると、世界最大のアート市場は依然として中国で、売り上げは世界総計の3分の1を超える51億ドル(約5400億円)だった。米国は、それよりもやや低い49億ドル(約5200億円)。
中国のアート市場調査会社「アートロン(Artron)」と提携関係にあるアートプライスは「中国と米国との間の激しい競争が、欧米での爆発的な成長を生んだ」ことを指摘し、「美術作品が米中両国におけるソフトパワーの中心的要素であることは明白」と述べた。大規模な美術館を新設した湾岸諸国のカタールとアラブ首長国連邦(UAE)の間でも、より小規模ではあるが同様の競争が行われているという。
中国の台頭は、昨年開催された競売の売り上げによるアーティスト上位500人のランキングにもはっきりと表れた。ここでは中国人アーティストが32.4%に上り、米国人アーティストは同16.4%だった。
上位10人には、レオナルド・ダビンチやパブロ・ピカソ(Pablo Picasso)、ジャンミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)、アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)に続き、斉白石(Qi Baishi、キ・バイシ)、張大千(Zhang Daqian)、傅抱石(Fu Baoshi)、ザオ・ウーキー(Zao Wou-Ki)氏ら、4人の中国人アーティストがランクインした。(c)AFP/Fiachra Gibbons and Antoine Froidefond