【3月1日 AFP】米国での銃火器による負傷者の数は、銃規制に反対する有力なロビー団体「全米ライフル協会（NRA）」が大規模な年次総会を開催している期間に約20％減少するとの研究論文が2月28日、発表された。

　米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル（New England Journal of Medicine）」に掲載された論文は、相関関係を観察したもので、因果関係を証明するものではない。

　しかし研究チームは、銃による負傷者に減少が見られたのは、年次集会が「つかの間の銃使用を自制する期間」となるためとの仮説を立てた。

　論文を執筆した米ハーバード大学メディカルスクール（Harvard University Medical School）のアヌパム・ジェナ（Anupam Jena）准教授（医療政策）は、「銃を使用する人が減るということは、銃による負傷者が減るということを意味する。それはある意味、驚くようなことではない」と語っている。

　研究では、2007～2015年に起きた、銃火器による負傷での救急外来受診および入院に関する医療保険の申請7600万件近くを対象に調査が行われた。研究者らは、NRA年次総会開催期間における銃による負傷者の数、さらには総会の前後それぞれ3週間での負傷者の数を比較した。

　その結果、「総会が行われていない期間の銃による負傷者数は、10万人中1.5人だったのに対し、総会期間中では1.25人で、20％の開きがあった」と論文は報告している。

　NRAの年次総会には、全米から8万人を超える人々が参加する。

「総会の期間中に最も負傷者が減少したのは、銃の保有率が全米で最も高い南部と西部の州に住む男性と総会が開催されている州の居住者だった。こうしたデータは、総会への参加と負傷者の減少との間に関連性があることをサポートするものだ」と論文は指摘している。(c)AFP