【3月1日 AFP】米体操連盟(USA Gymnastics)の性的虐待スキャンダルで進退問題に直面していた同国オリンピック委員会(USOC)のスコット・ブラックマン(Scott Blackmun)氏が、8年間務めていた最高経営責任者(CEO)の職から退いていたことが28日に判明した。

 現在60歳のブラックマン氏は、同連盟のチーム医師だったラリー・ナサール(Larry Nassar)被告がスポーツ界を揺るがした一連の事件で、その対応をめぐり激しい批判を受けており、最近では前立腺がんを患っていることを公表していた。

 USOCのラリー・プロブスト(Larry Probst)会長は声明で、「現在のスコットの健康状態を考慮し、われわれは双方にとって最大の利益になると考え、新しいリーダーを指名して早急に目の前の緊急案件への取り組みを可能にしていくことで合意した」とすると、「USOCは現在、歴史的に重要な局面にある。ラリー・ナサール被告が数十年間にわたり米体操連盟に所属する選手たちを虐待してきた問題を抱える中、スコットが始めた重要な仕事を引き継ぎ、明るいニュースをもたらすことが特に必要だ」と述べた。

 正式な後任選びが行われるまで、ブラックマン氏に代わり理事会メンバーのスザンヌ・ライオンズ(Susanne Lyons)氏が暫定的にCEOを務めるという。

 USOCはナサール被告の被害者からの告発を却下するなど、スキャンダルが発覚した際に迅速な対応を怠ったとして、ブラックマン氏の辞任を求める声が高まっていた。米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)の報道では、USOCが2015年にナサール被告の疑惑を把握していながらも何も介入しなかったことが伝えられ、一部の米上院議員も同氏に辞任を迫っていた。

 USOC側はブラックマン氏を擁護しており、平昌冬季五輪ではプロブスト会長が報道陣に対し、「ブラックマン氏はやるべきことを遂行し、あらゆる点で正しく行動した」と述べていた。(c)AFP/Rob Woollard