【2月28日 AFP】米中央軍(CENTCOM)司令官のジョセフ・ボテル(Joe Votel)陸軍大将は27日、ロシアはシリア内戦の終結を望んでいると主張する一方で紛争の激化に加担しており、シリアにおいて「放火犯と消防士」の両方の役割を果たしていると批判した。

 ボテル氏は下院軍事委員会の公聴会で証言し、7年におよぶシリア内戦におけるロシアの役割を非難した。シリアではこの数週間に、傭兵(ようへい)とみられるロシア人が米国の軍事顧問団やクルド人勢力を攻撃した後に、米軍主導の有志連合による空爆で死亡したとされるなど、思わぬ方向に展開している。

「ロシア政府は外交的にも軍事的にも放火犯と消防士の両方の役割を演じ、シリアの全当事者間の緊張を高めている」とボテル氏は指摘。その上でロシアは「紛争の調停者として各当事者の立場の弱体化、無力化を狙っている」と続けた。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は2015年にシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領を支援すべく同国の内戦に介入。一方、シリア北部では米軍主導の有志連合がイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の掃討作戦を続けていた。

 2年以上が経ち、現在はアサド政権側が優位となっている。プーチン氏は昨年12月、ロシア軍に対し、シリア内戦における任務はほぼ完了したとして同国からの一部撤退を指示した。

 しかし観測筋は、実際に軍の撤退が進んでいるのか疑問視している。ボテル氏も、ロシアはシリア国内での存在を利用し、「大抵は巻き添え被害や民間人の犠牲を軽視して」新しい兵器や戦術を試すなどしていると述べた。(c)AFP/Thomas WATKINS