【2月27日 AFP】古代のゾウやマンモスは、交雑と遺伝子の変化を経て新しい生息地や気候への適応を行ってきたが、アフリカに生息する現生2種では、このような異種交配はみられない。研究論文が26日、発表された。

 研究では、マンモス、マストドン、ゾウのゲノムを対象に調べた。その結果によると、アフリカのサバンナゾウとマルミミゾウの間では、過去50万年にわたり交配した形跡は見られなかったという。

 ヒグマとホッキョクグマ、スマトラオラウータンとボルネオオラウータンなど、多くの近縁種は交配することが知られているが、500万年前から1000万年前のアフリカにその起源を遡るとされるゾウでは、これまでその異種交配について分かっていなかった。

 研究では、アメリカマストドン、真っ直ぐな牙を持つ12万年前のゾウ、コロンビアンマンモス、それにアフリカおよびアジアに現存するゾウのものを含む、14のサンプルを対象にゲノム解析を行った。研究論文が米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に掲載された。

 真っ直ぐな牙を持つ絶滅種は、その頭蓋骨の形と歯の大きさの類似性から、これまでアジアゾウのグループに属すると考えられてきた。しかし、その詳細については長きにわたり謎に包まれていた。

 だが、米ハーバード大学メディカルスクール(Harvard University Medical School)のエレフセリア・パルコプル(Eleftheria Palkopoulou)博士研究員らによる研究論文によると、この真っ直ぐな牙を持つゾウは、「古代のアフリカゾウ、マンモス、現存するマルミミゾウに由来する遺伝的組成を持つ」種であったことが分かったという。

 論文は、今回の遺伝子研究によって「古代の異種間で大規模な交配があったことが明らかになり、またその進化の過程において基本的な役割を担っていたことも分かった」と述べている。

 その一方で、アフリカのマルミミゾウとサバンナゾウの間では異種交配を示す遺伝子的証拠は示されず、「すぐ近くで生息しているにもかかわらず、過去50万年間、ほぼ完全に隔離されていたことを示唆している」とされた。(c)AFP