【2月26日 AFP】ミャンマーでイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)に対する暴力が横行している問題で、ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を以前授与された3氏が26日、同じく受賞者であるアウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問に対し、声を上げるよう訴えた。さもなければスー・チー氏は「ジェノサイド(大量虐殺)」の罪で訴追されかねないと警告している。

 残虐行為に対してスー・チー氏に目を覚ますよう嘆願したのは、タワックル・カルマン(Tawakkol Karman)、シリン・エバディ(Shirin Ebadi)、マイレッド・マグワイア(Mairead Maguire)の3氏。

 3氏は25日からの2日間、100万人近いロヒンギャが身を寄せているバングラデシュのコックスバザール(Cox's Bazar)地区にある複数のキャンプを視察。ロヒンギャの人々が受けたレイプや殺人の例を直接耳にした。

 その後マグワイア氏は、「これは明らかに、ロヒンギャの人々に対してビルマ(ミャンマー)政府と軍が行っているジェノサイドに他ならない」と断じた上で、「われわれは同政府のこのジェノサイド政策を拒絶する。国際刑事裁判所(ICC)の召喚を受け、ジェノサイドに及んでいる者らはその責任を負わされるだろう」と述べた。

 かつて世界的な人権活動家と目されたスー・チー氏だが、ロヒンギャ危機の対応をめぐって国際社会における名声が失墜。1991年に自宅軟禁下で受賞したノーベル賞の剥奪を求める声もある。

 いずれも女性のノーベル平和賞受賞者である3氏は、スー・チー氏への個人的な嘆願だとしているが、イエメンの人権活動家であるカルマン氏は「アウン・サン・スー・チー氏に目を覚ましてほしい。さもなければこの罪を犯した者の一人とみなされるだろう」と訴えた。(c)AFP