【2月26日 AFP】パキスタンにある世界第2位の高峰K2(ケーツー、標高8611メートル)の史上初となる冬期単独登頂に挑んでいる登山家がいる。だが、登山家仲間たちからは無謀な決断だと懸念の声が上がっている。

 ロシアとポーランドの市民権を持つデニス・ウルブコ(Denis Urubko)氏(44)は、K2の冬期初登頂を目指すポーランドの登山家チームに参加していた。しかし、メンバーと意見が食い違う場面が何度か重なり、24日にK2のベースキャンプでチームから離脱した。

 関係筋によると、ウルブコ氏はチームの登山ペースにいら立ちを募らせていたという。「2月中に登頂するようチームを説得しようとしていた」と、チームに同行していたポーター(荷物運び人)は25日、AFPに語った。3月に入ると登頂が困難になると主張していたという。

 ウルブコ氏は「チームリーダーと激しい論争を繰り返し、最後は何も言わずにチームを離れて山頂へ向かった」という。

 ポーランドの登山チームはこれを事実と認め、ウルブコ氏はチームリーダーと話すことを拒否し、無線機を持たずに第2キャンプを去ったと明かした。

 ウルブコ氏は1月、パキスタン北部の高峰ナンガパルバット(Nanga Parbat、標高8125メートル)で起きた遭難事故の救助活動に急行し、夜間の捜索を敢行してフランス人登山家を救出したチームの一人として世界でニュースとなった。その後、同氏はK2冬季初登頂を目指すチームに再合流していた。

 K2は世界で最も登頂が困難な山の一つとされる。登山家仲間たちからは、ウルブコ氏の挑戦に懸念の声が出ている。パキスタンの登山家、ミルザ・アリ(Mirza Ali)氏は、「冬にK2の単独登頂に挑むなんて完全に自殺行為だ」と述べた。(c)AFP