【2月24日 AFP】2016年米大統領選へのロシア介入疑惑をめぐる捜査が進む中、ドナルド・トランプ(Donald Trump)陣営の選対本部長を務めていたポール・マナフォート(Paul Manafort)被告が、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)政権(当時)のためのロビー活動で欧州の元首脳らのグループに200万ユーロ(約2億6000万円)以上を秘密裏に支払っていたことが23日、起訴状で明らかになった。

 ロバート・モラー(Robert Mueller)特別検察官がワシントン連邦地裁に提出した起訴状によると、マナフォート被告は米国へのロビー活動などによって「ウクライナに好意的な立場」を取るため、「ハプスブルクグループ(Hapsburg Group)」と呼ばれる元政治家のグループを抱えていた。

 2012~13年に活動していたハプスブルクグループは、匿名の「欧州の元首相」が運営し、メンバーと協力して米国の議員や政権に対するロビー活動を行っていた。

 マナフォート被告が2012年6月に記した覚書によると、ハプスブルクグループは「(ウクライナ政府との)関係を一切知られることなく非公式に活動すること」が意図されていた。

 ロシア政府の支援を受けていたヤヌコビッチ氏は当時、ロシア寄りの姿勢と相次いで重大な汚職の告発を受けたことで欧州の大半から疑いの目で見られていた。

 ヤヌコビッチ氏は2014年の民衆蜂起で大統領の座を追われロシアに亡命。その後マナフォート被告はヤヌコビッチ氏のために働くのをやめて米国に戻り、2016年に米大統領選のトランプ陣営に加わった。

 マナフォート被告は昨年10月30日、2006~14年に当時ウクライナの大統領でロシアの支援を受けていたヤヌコビッチ氏に雇われていた時の業務に絡み、資金洗浄(マネーロンダリング)と脱税、銀行に対する詐欺の罪で起訴された。さらに今月22日、上記の罪とは別にウクライナから得た収益の米国への移転に絡む銀行詐欺と脱税の罪で、側近だったリック・ゲイツ(Rick Gates)被告と共にバージニア州の裁判所に起訴された。

 マナフォート被告は22日の起訴でハプスブルクグループと特段の関係がある罪に問われているわけではないが、こうした活動はマナフォート被告が米政府に外国政府代理人として登録せず不法にウクライナのロビイストとして活発に活動していたことを示しているという指摘もある。(c)AFP