沖永良部島と与論島の漂着油は沈没タンカーの燃料、海上保安庁
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【2月24日 AFP】海上保安庁は23日、鹿児島県の沖永良部島と与論島に漂着した油について、東シナ海(East China Sea)で先月沈没したタンカー「サンチ(Sanchi)」から流出したものとみられると明らかにした。
海上保安庁の報道官によると、両島に今月漂着し始めた重質油のサンプルを採取して分析したところ、サンチの燃料に使われていたものと成分が似ていた。
同報道官はAFPに対し、事故海域で原油流出を伴う海難事故は他に把握していないため、沖永良部島と与論島に漂着した油はサンチと関係がある可能性が高いと結論付けたと語った。
コンデンセート(超軽質原油)11万1000トンを積載したサンチは、東シナ海で香港船籍の貨物船「CFクリスタル(CF Crystal)」と衝突。8日間炎上した後、先月14日に日本の排他的経済水域(EEZ)内で沈没した。大規模な環境汚染を懸念する声も上がった。
1月下旬に海の幸と自然そのままの海岸で人気の観光地となっている南西諸島に「油のようなもの」が漂着し始めた。漂着油はサンチの貨油タンクに積載されていたコンデンセートとは別の物で、同タンカーの燃料とみられている。
地元自治体によると、少なくとも16島の沿岸に油状の物が漂着した。島民たちは除去作業を実施し、これまでに合計90トンを回収した。
日本政府は、この事故による沈没海域の漁業や鳥類やサンゴ礁など生態系への影響について詳細な調査に乗り出している。海上保安庁は、流出したコンデンセートは徐々に拡散するとみている。
沖永良部島と与論島以外の島々に漂着した油のサンプルはそれぞれ異なる成分を示していた。海上保安庁の報道官は、サンチは各種のタンクや装置でさまざまな重油を使用していた可能性もあると指摘した。
同報道官は、分析を続けているところであり、他の島々に漂着した油について結論を出すのは時期尚早と考えていると述べた。海上保安庁によると事故海域で採取した水の分析では汚染状態の悪化は確認されていない。(c)AFP