【2月22日 AFPBB News】ネタがつきたすし、小麦粉抜きのタコ焼き、ポテトに添えられたステーキ──。地球温暖化をもっと身近に感じてもらおうと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが企画した「未来レストランいぶき(Future Cuisine Restaurant IBUKI)」が25日、東京・表参道に1日限定でオープンする。22日には報道関係者向けの体験会が開かれた。

 50食限定のメニューは、「地球温暖化が進んだ未来」の食卓を表現したもの。温暖化の影響により、小麦の収穫量や牛肉の生産量、魚介類の収穫量などが激減した状況を想定し、5種類のメニューを考案。小麦粉の代わりにゼリーで包んだタコ焼きや、栄養豊富な藻の一種スピルリナを使った青色のパスタ、南国のフルーツや人工イクラをネタにしたすしなどが提供される。食後には、食料価格が高騰した未来のレシートも渡される。

 レストラン名は、温室効果ガスの観測技術衛星「いぶき」から命名。JAXAの「プロジェクトマネージャ」の平林毅(Takeshi Hirabayashi)さんは、「温暖化問題が広まった一方、人ごととして捉えて傍観しがちな傾向がある。食事がどう変わるかを体験し、温暖化を身近なものと考えてほしい」と企画の意図を話す。

 体験会に参加したアーティストの草野絵美(Emi Kusano)さん(27)は、「未来で食べられなくなる食材の多さに驚いた。味は意外とおいしいが、毎日や特別な日の食事がこうなると悲しい」と話す。

「決して悲観的な未来を描こうとは考えていない」と平林さん。「ただ、使える食材は現在と変わってしまう。今の食生活を続けるために、一人一人が考えて行動してもらえれば」(c)AFPBB News