【2月22日 AFP】英南極調査所(BAS)率いる国際科学者チームは21日、棚氷の下に最大12万年間隠れていた未知の海洋生態系の調査に出発した。

 2017年7月、「A68」として知られる氷山が南極のラーセン(Larsen)棚氷から分離し、その下に隠れていた海底の部分が姿を現した。BASによると総面積は5818平方キロで、英ロンドン(London)市の4倍近い広さに匹敵するという。

 BASは声明を発表し、「これは緊急のミッションだ。海底の生態系は数千年にわたって氷の下に隠れていた可能性が高く、太陽光が海の表層を変え始めるのに伴って生態系が変化してしまう恐れがある」と述べている。

 英領フォークランド(Falkland)諸島(アルゼンチン名:マルビナス諸島、Islas Malvinas)の主要都市スタンリー(Stanley)を出発した国際チームは、BASが運用する王立調査船ジェームズ・クラーク・ロス(James Clark Ross)号の船上で3週間を過ごす予定だ。

 BASは同日、ツイッター(Twitter)に「いよいよスタート!」と投稿し、ミッションの開始を伝えた。ツイートにはフォークランド諸島を離れていく船からの動画が添付されていた。

 調査の開始にあたり、チームを率いるBASの海洋生物学者のカトリン・リンゼ(Katrin Linse)氏は、今回の調査が「海洋生物が劇的な環境変化に対応する様子を観察するまたとない機会」とコメントしている。

 研究チームは今後、海底の動物、微生物、プランクトン、堆積物、海水などのサンプルを採取して調査を進める。さらに、この海域に移動した可能性のある海洋哺乳類や海洋鳥類を記録する予定だ。

 環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は先月、潜水艇で南極海の海底を訪れ、それまで未調査だった海中世界の光景を映像に収めた。グリーンピースによる潜水調査は、この海域の大部分を世界最大の海洋保護区にする活動の一環として行われた。(c)AFP