【2月21日 AFP】平昌冬季五輪、フィギュアスケートの女子シングル・ショートプログラム(SP)で2位につけたOAR(ロシアからの五輪選手)のエフゲニア・メドベデワ(Evgenia Medvedeva)が21日、自身の世界最高得点を更新して首位に立った同胞アリーナ・ザギトワ(Alina Zagitova)との金メダルをめぐる「戦争」に備えているとコメントした。

 映画『ブラック・スワン(Black Swan)』の音楽に乗せて15歳とは思えない成熟した演技を披露したザギトワは、SPで歴代最高となる82.92点を記録して首位発進した。

 3回転ルッツと3回転ループのコンビネーションジャンプを含む約2分半の演技を完璧に滑り切ったザギトワは、練習パートナーであり親友のメドベデワを1.31点リードし、2日後のフリースケーティング(FS)に臨む。

 江陵アイスアリーナ(Gangneung Ice Arena)で行われたこの日のSPでは、カナダのケイトリン・オズモンド(Kaetlyn Osmond)が78.87点で3位に入り、宮原知子(Satoko Miyahara)と坂本花織(Kaori Sakamoto)の日本勢がそれぞれ4位と5位で続いた。

 ザギトワと同じく五輪デビューとなった18歳のメドベデワは、「私たちは友人であり、年頃の女の子です。私たちはお互いに何でも話すことができる関係です」と話す一方で、「しかし氷上では戦わなければなりません。私はちょっとした戦争だと感じています。スケートをするときは一人です」と金メダルへの意欲を示した。

 一方のザギトワは、挑戦を受けて立つとコメントしている。

「私はこれまで繰り返し言ってきました。エフゲニアと私はとても仲の良い友人です。しかし練習や試合ではライバル感情が芽生えます。それは良くないことでもネガティブなものでも、悪意のある敵対心でもありませんが、心の中にあるんです」

 SP後の会見で、完成された演技と生真面目な性格について質問されたザギトワは、「私はとても落ち着いています。感情は出しません。感情を派手に表すことはしないんです」と答え、さらに半ば弁解するように「これが私という人間なんです。私の性格なんです」と続けた。

 両選手は国家ぐるみのドーピングで今大会には中立の立場で出場しているOARにとって第1号となりうる金メダルを争うことになるが、メドベデワは「メダルについては考えないようにしています。私の最大の目標はクリーンなフリースケーティングを披露することです。納得のいくパフォーマンスをすることです」と、英語で応じた。

 SPでメドベデワは、先日の団体戦で自身が記録した世界記録を更新する81.61点をたたき出した。その数分後に記録を塗り替えたザギトワは、「得点を見たときはとてもうれしかったのですが、スコアのことは期待していませんでした。これが人生最高のパフォーマンスですが、まださらに輝く余地があります」と話している。

 4年前のソチ冬季五輪でロシアは、アデリナ・ソトニコワ(Adelina Sotnikova)が女子フィギュア史上初の金メダルを獲得している。

 メドベデワは当時を思い出し「そのとき私はたったの14歳でした。ロシアが金メダルを取った時のことを覚えています。本当に素晴らしかったです。私は椅子に座りながら『私も同じ気持ちになりたい』と思いました」と話した。

 同じ経験をするのは誰か――23日に明らかになる。(c)AFP/Nick REEVES