緩衝地帯のロヒンギャ難民、帰還拒む 「市民権と安全」が条件
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【2月21日 AFP】隣国バングラデシュとの緩衝地帯に避難しているミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の難民およそ6000人が、市民権と身の安全が与えられないままでのミャンマーへの帰還を拒んでいる。ミャンマーとバングラデシュの両政府は昨年11月、ロヒンギャ難民のミャンマー帰還で合意に達したものの、ロヒンギャたちは帰還に不安を募らせている。
昨年8月、ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州でロヒンギャの武装組織が警察の検問所を襲撃したことをきっかけに、ミャンマー軍がロヒンギャの掃討作戦を実施。以降、数十万人とされるロヒンギャが避難しており、両国の間の緩衝地帯の一区画に作られたキャンプに多くのロヒンギャ難民たちが暮らしている。
ここ数週間、ロヒンギャ難民たちはミャンマーへの帰還を迫られており、緩衝地帯にとどまれば何かしらの「結果」を招くとミャンマーの閣僚は警告している。
しかし、ロヒンギャ難民のリーダーであるディル・モハマド(Dil Mohammad)さんはAFPに対し、身の安全の保障と市民権、さらには掃討作戦によって失われた家や土地の補償がない限り、ミャンマーへは戻らないと明言した。
モハマドさんは「われわれの要求が応えられない限り、ミャンマーの家や村には戻らない。われわれは市民権、全ての権利、生活と土地に対する安全、そして償いを求めている」と強調した。
人口の大半が仏教徒であるミャンマーはロヒンギャについて、バングラデシュからやって来た不法移民だとして市民権付与を拒んでいる。しかし、ロヒンギャの多くは数世代にわたってミャンマー国内で暮らしている。
ミャンマー軍の掃討作戦以降、70万人近くのロヒンギャがバングラデシュに避難しており、国連(UN)は民族浄化に匹敵する行為だと非難している。
ロヒンギャ難民の多くはバングラデシュ国内のキャンプで暮らしているが、バングラデシュ政府は難民にとどまってほしくないとの考えを明確に示しており、ミャンマー政府とロヒンギャの帰還開始で合意している。
両国は20日、緩衝地帯のロヒンギャ難民たちと直接話し合うことなく、難民らの帰還について協議を行った。(c)AFP