【2月22日 AFP】マスクと手袋をつけた専門スタッフらが極めて慎重に、貴重な書物を保護材で覆われた車輪付きの箱に収める。ギリシャ史上最も大掛かりな本の移動となる「歴史的な旅」に向け、準備を進めているのだ。

 1月から4月にかけて、ギリシャ国立図書館(National Library of Greece)は100年間位置していたアテネ中心部から市内沿岸部へ移る。図書館のフィリポス・シンポグロ(Filippos Tsimpoglou)館長は、「これは単なる引っ越しではありません。新しい時代への旅なのです」と話す。

 550人以上のスタッフが2年をかけ、70万冊を超える写本や書籍の手入れ、電子化、タグ付け、再分類を行った。この移動計画は、国内有数の慈善事業団体「スタブロス・ニアルコス財団(SNF)」からの多大な寄付によって可能になった。

 同財団は2016年、図書館の「新居」となる、イタリアの著名建築家レンゾ・ピアノ(Renzo Piano)氏が設計したスタブロス・ニアルコス財団文化センター(Stavros Niarchos Foundation Cultural Center)をお披露目した。約7億3500万ドル(約790億円)をかけ、設計と建設に8年を費やして完成した20ヘクタールの文化センターには国立オペラ座も入居する。(c)AFP/John HADOULIS