【2月19日 AFP】ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領が18日、平昌冬季五輪のフリースタイルスキー男子エアリアルに出場した前回大会金メダリストで同国出身のアントン・クシニル(Anton Kushnir)が決勝に進めなかったことについて、同選手が不当に「落とされた」と採点に激怒。夜中に外交官を起こし、国際オリンピック委員会(IOC)に苦情を訴えさせた。

 ソチ冬季五輪で金メダルに輝いたクシニルは、17日の予選で順位が一つ上のスイス選手にわずか0.45点及ばず、6人が勝ち進む決勝に残れなかった。この結果についてルカシェンコ大統領は、ロシアと中国、スイスのジャッジがそれぞれの自国選手を決勝に進めるため、有利な採点を行っていたと主張している。

 市会議員選挙の投票のため訪れたミンスクの会場で、ルカシェンコ大統領は「彼らはとにかくアントンを落としたかった。決勝に残せばほかの選手たちは全員終わりだとわかっていたんだ。これは完全なる侮辱だ」と語った。

「仕方がないので外務省の職員を夜中に急いでたたき起こし、韓国の大使館も動かして、政府から緊急でIOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長に電報を打った。自分の考えをもう少し柔らかく伝えたよ」

 1994年からベラルーシの国家元首を務め、権威主義的な人物として知られるルカシェンコ大統領は、さらに自らIOCの会合に出席して不満を訴える可能性を示唆した。

 33歳のクシニルはこれが4回目の五輪で、連覇が有力視されていた。男子エアリアルは結局、ウクライナのオレクサンドル・アブラメンコ(Oleksandr Abramenko)が金メダルを獲得。中国の賈宗洋(Jia Zongyang、チア・ツォンヤン)が銀、OAR(ロシアからの五輪選手)のイリア・ブロフ(Ilia Burov)が銅メダルだった。(c)AFP