【2月17日 AFP】中国とフィリピンが、領有権を争う南シナ海の海域で資源開発のために合同で鉱物探査を進める計画を検討していることが分かった。フィリピンのアラン・ピーター・カエタノ(Alan Peter Cayetano)外相が16日、明らかにした。

 カエタノ外相は記者団に対し、「われわれにとって必要であるため、この計画を積極的に推し進めている」と述べ、合同探査のための選択肢を検討するため、両国それぞれで作業部会を設置することになるだろうと付け加え、さらに「その上で合同探査の実施に向けて、憲法に沿った枠組みを見つけたい」と話した。

 主要な貿易航路であり有数の漁場でもある南シナ海には多大な鉱物資源があるとみられ、中国とフィリピン以外にもブルネイ、マレーシア、台湾、ベトナムなどが領有権を主張している。

 中国政府は南シナ海のほぼ全域に対する領有権を主張しているが、ベニグノ・アキノ(Benigno Aquino)前比大統領の主導でフィリピンが中国を提訴した裁判では、2016年にオランダ・ハーグ(Hague)の常設仲裁裁判所(PCA)が中国側の主張を認めない裁定を下した。

 しかし2016年に比大統領に就任したロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)氏は、軍事的・経済的支援を約束する中国に歩み寄るために、前大統領による主張を軽視し、裁定を顧みない姿勢を打ち出して、防衛アナリストや法律学者らに警戒感を募らせている。

 カエタノ外相は16日、中国との合意によってフィリピンの国権が損ねられることのないよう「国際法の専門家」と協議していくことを明らかにするとともに、「どのようなことをするにせよ、フィリピンの法律のみならず国連海洋法条約(UNCLOS)にも沿ったものとなる」と述べ、中国と協議するのはあくまでも探査についてのみで、実際の開発についてではないと強調した。(c)AFP