【2月16日 AFP】クウェートでメイドとして働いていたフィリピン人女性が今月、冷凍庫内に押し込まれた状態で発見され、16日に無言の帰国をした。

 ジョアンナ・デマフェリス(Joanna Demafelis)さん(29)は、レバノン人男性とシリア人女性の夫婦のメイドとして働いていた。雇用主の夫婦は2016年から消息を絶っている。

 首都マニラの空港で待ち受けた遺族は、輸送機から降ろされたデマフェリスさんのひつぎに取りすがって号泣した。デマフェリスさんは生前、両親と一番年下のきょうだいを助けたい一心で故郷を離れるのだと語っていたという。

 事件はフィリピンとクウェートの外交問題に発展。激怒したフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領は、アラブ人らは雇ったフィリピン人女性らを日常的にレイプし、毎日21時間働かせ、残飯を食べさせていると非難した。

 さらにフィリピン政府はクウェートにおける自国民の新規就労の全面禁止を発表するとともに、数百人を飛行機で帰国させた。この動きは中東諸国の反発を招いている。

 当局によると、クウェートで出稼ぎするフィリピン人の数は25万2000人に上っており、その多くがメイドとして働いている。クウェートでは家事労働者には一般の労働法が適用されておらず、虐待や搾取の被害を訴えるフィリピン人労働者が後を絶たない。(c)AFP