【2月16日 AFP】パートナーがいる父親やシングルマザーと比較して、シングルファーザーは早死にするリスクが2倍以上になるとするカナダの研究結果が15日、発表された。

 公衆衛生に関する専門誌「ランセット・パブリック・ヘルス(Lancet Public Health)」に掲載された論文の執筆者らは、ひとり親家庭の割合がカナダと同程度の先進諸国にも当てはまる結果だろうと述べている。

 トロント大学(University of Toronto)のマリア・チウ(Maria Chiu)氏が主執筆者を務めた今回の研究では、カナダ全土のシングルマザー4590人、シングルファーザー871人を含む4万500人を11年間にわたって追跡調査した。

 調査開始時の平均年齢は40代前半だったが、対象者の700人が調査期間終了までに亡くなった。この中で、パートナーがいる父親およびシングルマザーと比較して、シングルファーザーの死亡率は約3倍高かった。

 シングルファーザーは年齢が高い傾向があること、がんや心疾患の罹患(りかん)率が比較的に高いことを考慮しても、死亡リスクは依然2倍ほど高いと研究チームは結論付けた。

 チウ氏は、好ましくない生活習慣やストレスなどがその原因として考えられるとしながら、シングルファーザーには偏った食生活や運動不足、過剰飲酒など「より不健康なライフスタイルを送る傾向がみられた」と指摘している。

 また、シングルマザーでは婚外出産の割合が高かったが、1人で子育てをしている男性では、別居、離婚、パートナーと死別しているケースがより多く見られた。離別体験は精神的健康に対するリスク要因でもある。

 さらに悪いことに2016年の研究によると、シングルファーザーはたとえ身体的・精神的に不健康な状態にあることを自覚していても、専門家の助けをあおぐことが女性よりも少ない傾向があった。

 ひとり親家庭は近年、先進国全体でますます一般的になっている。例えば米国では、1960年には8%だったシングルマザーと住む子どもの割合は、2016年には23%となっている。一方、同じ時期、シングルファーザーと住む子どもは1%から4%に増えている。

 欧州では、ひとり親家庭の割合が最多なのはデンマークで30%。経済協力開発機構(OECD)によると、そのうち23%の世帯主は女性で、7%が男性となっている。

 国連経済社会局人口部(UN Population Division)のジョセフ・シャミー(Joseph Chamie)元部長による推計では、世界の子ども人口23億人のうち14%に当たる3億2000万人がひとり親世帯に暮らしている。(c)AFP/Marlowe HOOD