【2月14日 AFP】欧州連合(EU)が域内各国に課す大気汚染改善目標の達成に向けて、ドイツ政府が公共交通機関を無償化して道路の交通量を減らす案の検討に入ったことが13日、明らかになった。基準違反が続いていることへの危機感からとみられるが、自動車大国ドイツの思い切った対策は近隣諸国を驚かせている。

 ドイツでは2年前にフォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正が発覚。ドイツ経済を支える自動車産業に対する怒りも爆発していた。

 バルバラ・ヘンドリクス(Barbara Hendricks)環境・建設・原子力安全相は欧州委員会(European Commission)のカルメヌ・ベッラ(Karmenu Vella)委員(環境・海洋・漁業)への書簡の中で「わが国は自家用車の台数を削減するために公共交通機関の無償化を検討している」と述べている。

 ドイツを含む9カ国は、二酸化窒素(NO2)や微粒子に関するEUの規制を1月30日までに満たせなかった。違反国は欧州司法裁判所(ECJ)に提訴され、罰金を科される可能性がある。

 ヘンドリクス氏は「これ以上の不要な遅延を避けて、効果的な大気汚染対策を進めていくのがドイツの最優先課題」とも記している。

 公共交通機関の無償化は早ければ年内にも西ドイツの首都だったボン(Bonn)、工業都市のエッセン(Essen)とマンハイム(Mannheim)など、ドイツ西部の5都市で実証実験が行われる。(c)AFP