【2月9日 AFP】オランダ議会で8日、19世紀に制定された国王に対する侮辱行為を処罰する「不敬罪」の廃止について議論が交わされた。王室が敬愛されているオランダで、この問題は激しい論争を引き起こしている。

 オランダは、今なお不敬罪を存続させている数少ない国の一つ。不敬罪は1830年に犯罪とみなされるようになり、1886年に成文化された。最大で禁錮5年または2万ユーロ(約270万円)近い罰金が科されるが、めったに適用されることはない。

 同法が最後に適用されたのは2016年7月で、フェイスブック(Facebook)上でウィレム・アレクサンダー(Willem-Alexander)国王を「人殺し、泥棒、レイプ魔」呼ばわりして侮辱した男に禁錮30日が科された。

 連立政権の一画を担う革新政党の民主66(D66)が不敬罪の廃止法案を提出したことで、脆弱(ぜいじゃく)な4党連立政権に亀裂が生じている。

 マルク・ルッテ(Mark Rutte)首相率いる最大与党、自由民主党(VVD)は、不敬罪の廃止に慎重な姿勢を示している。しかし、民主66が提出した法案を8日に審議したオランダ議会では、オランダの一般市民が耐えなければならないのと同種の侮辱を国王も耐えなければならないとする意見が大勢となりつつあるようだ。(c)AFP