【2月18日 AFP】カラール・ハッサン(Karrar Hassan)さん(25)は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との戦いで負傷したイラク人戦闘員数万人の一人だ。障害を負ったハッサンさんは現在、月50万イラク・ディナール(約4万5000円)の恩給でどうにか生き延びようとしている。

 2014年、失業中だったハッサンさんは、イラク民兵組織「人民動員隊(Hashed al-Shaabi)」に加わった。

 数か月後、バグダッドの西の都市ファルージャ(Fallujah)をめぐる激しい戦闘の際、ハッサンさんは爆発で左ふくらはぎに裂傷を負い、左脚を失った。

 治療のため人民動員隊によってイランとレバノンに送られたハッサンさんはその後、膝から下に義足を付けて帰国。この処置で移動が十分可能となったため、ハッサンさんは前線に戻った。

 2015年、バグダッドの北の都市バイジ(Baiji)で再び戦闘に参加していたハッサンさんは、再度負傷。この時は銃弾2発を右膝に受け、これにより戦闘に加わることはできなくなった。

 イラクは2017年12月、約3年にわたるISとの戦いで勝利を宣言。人民動員隊によると、ISとの戦いで隊員8000人が死亡、2万6000人が負傷した。

 仕事はなく、車の運転もできなくなったハッサンさんは現在、毎月の恩給50万イラク・ディナールで家族をどう養っていくか悩みながら自宅で過ごしている。この金額はイラクの平均給与よりもやや低い程度だが、自身のための医薬品代や、妻と3人の子どもたち合わせて家族5人分の食費などを賄うのには十分とは言えない。義足との接合部に塗る軟こうは800ドル(約8万8000円)で、10か月程度しかもたない。仕事はしたいが、タクシーの運転も重い荷物を運ぶこともできないと、ハッサンさんは途方に暮れている。