気候変動でゴルフが存亡の危機に? 英団体が警鐘
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【2月7日 AFP】気候変動にともなう冬の雨の増加と海岸の浸食は、ゴルフの未来を脅かす――。ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ(R&A)の後援を受けて調査を行っていた団体が、7日にそうした報告を発表した。
130の組織からなる英国の団体「気候連合(Climate Coalition)」によれば、ゴルフ界では降水量の増加でホールがプレー不可能になったり、冬場にコースを閉鎖したり、プロの大会が壊滅的な悪影響を受けたりする事例が増えているという。また海水面の上昇で、世界中の海岸沿いのコースは2100年までにすべて使い物にならなくなる可能性があるという。
加えて温暖化の影響で異常気象が激しさを増し、さらに多くのゴルフコースを閉鎖に追い込むほか、秋と冬の気温が上がり、雨が増えることで、コースやグリーンの芝が傷んだり、病気にかかったりするケースが増えるという。
報告では、スコットランドのグラスゴー一帯だけで、2016-17シーズンのゴルフ場の利用時間が、10年前と比べて20パーセント減ったというデータも紹介されている。
また、スコットランドではゴルフコースが六つに一つの割合で沿岸に位置しているが、そうしたコースが海水面の上昇と激しい嵐の影響で浸食の危機に瀕していることにも言及。世界有数の歴史を持つモントローズ・ゴルフ・リンクス(Montrose Golf Links)では、この30年で北海(North Sea)がコースに70メートルも近づき、いくつかのホールは別の場所に作り直すか、破棄しなければならない状況だと述べている。
R&Aでコース管理を担当するスティーブ・アイザック(Steve Isaac)氏は「この件が大きな問題となりつつあることに疑いの余地はない。スキーを別とすれば、ゴルフは他のスポーツよりも気候変動から受ける影響が大きい。われわれは、プレー不可能なコースや冬季閉鎖、プロ大会の崩壊の増加といった形で、それを実感している。未来の脅威は極めて現実的な問題だ」と話した。
他には、クリケットも気候変動にともなう冬場の降水量の増加、そして夏場の集中豪雨の頻発によって「あらゆるレベルでの崩壊」に直面しているという。また、サッカーもとりわけ草の根のレベルで悪天候の影響を受けているほか、スコットランドのスキー産業は、安定した降雪が見込めないレベルまで気温が上がることで、50年以内に崩壊する恐れがあるという。(c)AFP