【2月15日 AFP】オーストラリアのサウスオーストラリア(South Australia)州政府はこのほど、州内の住宅約5万戸に太陽光パネルと米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)の蓄電池を無償提供すると発表した。住宅を太陽光パネル網でつないで大規模な発電所として活用する計画だ。

 サウスオーストラリア州では昨年末、テスラのイーロン・マスク(Elon Musk)最高経営責任者(CEO)主導のもと、3万世帯以上に電力を供給することを目的とした世界最大の蓄電施設が稼働を開始した。

 同州政府は、2016年に「前例のない」規模の暴風雨によって州全土で停電が発生して以降、電力難に対処する手段を模索しており、再生可能エネルギーの利用が特にその中心となっている。

 州政府が先週発表した計画によると、充電式蓄電池と太陽光パネルは無償で各世帯に提供される。財源は、世帯間でつながった太陽光パネル網が生み出す電力の余剰分を販売することで賄うという。

 ジェイ・ウェザリル(Jay Weatherill)州首相は声明で、「州政府は既に世界最大の蓄電池を稼働させている、今度は世界最大の仮想発電所を提供する」と説明。「協力してくれる世帯に電気代の大幅な節約という利益を提供しつつ、一般の住宅をサウスオーストラリア州電力網のために活用する」と強調した。

 計画では、まず試験的に5キロワットの太陽光パネルとテスラの蓄電池が公営住宅1100戸に提供され、続いて公営住宅2万4000戸に太陽光パネルと蓄電池が設置される。そして今後4年をかけ、州内の他の住宅にも設置が進められるという。(c)AFP