食肉用の雌牛が逃亡、助命の呼び掛けに660万円集まる オランダ
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【2月4日 AFP】オランダで食肉処理場へ連れていかれる直前に逃げ出し、4週間たった現在も逃亡中の牛がソーシャルネットワーク(SNS)界でスター視されている。この牛を食肉となる運命から救い牧草地で余生を過ごさせてあげようと立ち上げられたクラウドファンディングには4万8000ユーロ(約660万円)もの資金が集まった。
この牛は3歳半の肉用牛リムーザン(Limousin)種の雌牛。正式には持ち主トーン・ファンデンエンク(Toon van den Enk)さんの妻の名前を取って「ヨーク18(Joke 18)」と付けられているが、ヘルミン(Hermien)と呼ばれている。
食肉処理場に向かうトラックに載せられようとしたまさにその時、大胆にもほかの牛1頭と共に自由を求めて逃げ出した。もう1頭はすぐに捕まったがヘルミンはまだ逃げたままで、助命嘆願が殺到している。
ヘルミンは北部フリースラント(Friesland)州の森に身を隠し、夜間に餌を求めて近くの畜舎に忍び込んではまた闇に紛れて逃げているようだという。
ツイッター(Twitter)は「#JesuisHermien(私はヘルミン)」「#GoHermien(いいぞヘルミン)」「#MeKoe(私は雌牛)」などのハッシュタグであふれている。最後のものは女性への性暴力に反対する姿勢を示すハッシュタグ「#MeToo」を「雌牛」という意味のオランダ語の単語「Koe」を使ってもじったものだ。
オランダ元女王のベアトリックス王女(Princess Beatrix)の娘婿にあたるピーター・ファン・フォレンホーフェン(Pieter van Vollenhoven)氏も「ヘルミンを救わなければ」と声を上げ「みんなでお金を出してヘルミンに自由を与えよう」と呼び掛けた。
オランダ紙ADによれば、これまでに寄せられた資金はヘルミンが一生、牧草地でのんびりと過ごすのに十分な金額だという。
だが、まずヘルミンを見つけなければならない。AFPの取材に応じた獣医師によるとヘルミンはまだ「人を非常に恐れている状態」にあり「しばらくは彼女をそっとしておく必要がある」という。「辛抱強く待っていれば、天候の良い日にヘルミンは姿を現し、自から人間に近寄ってくるでしょう」 (c)AFP