【2月4日 AFP】手や足に木の皮のような巨大なイボが生じたために「ツリーマン(樹木男)」と呼ばれたバングラデシュ人の男性、アブル・バジャンダル(Abul Bajandar)さん(27)の手足から、除去したイボが再び生じ出していることが分かった。バジャンダルさんは1年前、24回の手術で「ほぼ完治」したとみられていた。

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 治療に当たっているダッカ医科大学病院(Dhaka Medical College Hospital)形成外科のサマンタ・ラール・セン(Samanta Lal Sen)医師は、バジャンダルさんの病状は当初考えていたより重いかもしれないと認めた。

 発症前に人力車(リキシャ)の運転手をしていたバジャンダルさんは2016年1月、治療のためダッカ医科大学病院を初めて訪れた。

 もう何年も働けていないバジャンダルさんは「これ以上手術を受けるのは怖い。私の手足が元通り治るとは思えない」と、治る見込みがないのではないかとの不安をのぞかせた。

 この病気は「疣贅(ゆうぜい)状表皮発育異常症」と呼ばれる非常に珍しい遺伝性の皮膚病で、セン氏によると、世界でもバジャンダルさんを含めて5人以下しか診断例がない。

 症状に関心を持ったダッカ医科大学病院は無料でバジャンダルさんの治療を行っており、手足から5キロ以上ものイボを除去してきた。

 バジャンダルさんは先週、25回目の手術を受け、手にできたイボの一部が除去された。

 治療開始以来、バジャンダルさんは同病院の一室で家族と一緒に暮らしている。妻のハリマ・カトゥン(Halima Khatun)さんは夫の看病と4歳の娘の世話に追われながら、ジュエリーづくりの内職をしてわずかばかりの収入を得る日々を送っている。

 カトゥンさんは「無料で治療を受けられるのはありがたい。うちにはそんなお金はないから」と述べた。

 ダッカ医科大学病院は昨年、バジャンダルさんと同じ病気にかかったバングラデシュ人の少女を治療した。

 担当医師らは少女の手術は成功したと発表した。しかし後に少女の父親によって、イボが再発し、症状はかえって悪化していることが明らかにされた。父親は病室で成長する娘を見るのはしのびないと言い、治療続行を拒否した。

 ダッカ医科大学病院の形成外科で働くある看護師は「永遠に入院しているべき人なんていない」「残念ながら、彼(バジャンダルさん)はしばらく入院しなければならないが」と語った。

 一方、バジャンダルさんは娘の教育費などの金銭的な悩みを抱えている。「前々から娘には医師になってほしいと思っていた。しかし私の病状が悪化すれば、幼稚園にだって行かせてやれない、ましてや医大なんて」と語った。(c)AFP/Sam JAHAN