【2月3日 AFP】日本の南西諸島の沿岸に「油のようなもの」が漂着していることが分かった。当局が1日、明らかにした。3週間ほど前に日本の排他的経済水域(EEZ)内で沈没したタンカーから流出した油ではないかとの懸念を呼んでいる。

 コンデンセート(超軽質原油)11万1000トンを積載したイラン企業所有でパナマ船籍のタンカー「サンチ(Sanchi)」(全長274メートル)は、東シナ海(East China Sea)で香港船籍の貨物船「CFクリスタル(CF Crystal)」と衝突。8日間炎上を続けた後、先月14日に日本のEEZ内で沈没した。大規模な環境汚染を引き起こす恐れがあるのではないかという懸念が広がっている。

 菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は東京都内で行った記者会見で、日本政府はこの「油のようなもの」の発生源を分析するとともに、海上保安庁の巡視船などを派遣して防除を行っていると発表した。

 地元当局によると、鹿児島県宝島(Takarajima)ではここ数日、約7キロにわたる海岸線で油状の漂着物が確認されている。宝島が属する十島(Toshima)村当局者はAFPの取材に対し、4~5月に村の港で産卵するトビウオにどのような影響が出るのか心配していると語った。

 サンチに積載されていたコンデンセートは流出した場合、一般的な石油流出事故とは違って海面に油膜は広がらないが、海水からの分離はずっと難しく、海洋生物にとって毒性が高い。(c)AFP