【2月2日 AFP】「人食い山」の異名を持つパキスタン北部にある世界最高峰クラスの高山、ナンガパルバット(Nanga Parbat、標高8125メートル)で、夜間の困難な救助活動により遭難から救出されたフランス人登山家のエリザベート・レボル(Elisabeth Revol)さんが、衰弱し出血していた登山パートナーを残して暗闇の中、単独下山せざるを得なかった状況を語った。

 フランスのオートサボア(Haute-Savoie)県の病院でAFPとの単独インタビューに応じたレボルさんは、救助隊からポーランド人のトマシュ・マツキェビッチ(Tomek Mackiewicz)さんを残して下山するよう強く求められたと語った。

 レボルさんにとって4度目、マツキェビッチさんとは3番目の挑戦となったナンガパルバットの冬登山で、2人は極寒と強風の困難に見舞われた。ポーランド人の精鋭登山隊が何とかレボルさんのいる場所まで登ることはできたが、さらに高所で動けなくなったマツキェビッチさんまでたどり着くことはできなかった。

 レボルさんの救出後の体重はわずか43キロ。レボルさんは昨年12月15日にフランスを出発、1月20日にマツキェビッチさんとともに登山を開始した。

 数日後、頂上に接近した2人は「とてもいい気分だった」とレボルさんは振り返る。夕方の早い時間、ついに山頂にたどり着いた。レボルさんは、酸素ボンベや案内人なしで冬季のナンガパルバット登頂に成功した最初の女性となった。

 だが彼らの喜びは長くは続かなかった。

「トマシュが『もう何も見えない』と言ったのです」とレボルさんは話す。

「日中少しもやがかかっていたので、彼はマスクを使用しませんでした。そして日が暮れる頃には眼炎になっていたのです。山頂にいたのはほとんど一瞬でした。下山を急がなければならなかったのです」