極めて精巧、「科学捜査の母」が作った殺人現場のジオラマ 米国
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【2月20日 AFP】殺人事件を担当する刑事は数年間実地訓練を受けるが、ある女性が開発したミニチュアの殺人現場のジオラマは、その女性の死から半世紀以上たった今も全米で捜査官の訓練に使われている。
「科学捜査の母」として知られるフランシス・グレスナー・リー(Frances Glessner Lee)は1940年代から、当時まだ男性優位だった草創期の科学捜査を大きく発展させようと、女性らしい伝統的な手工芸品に新たな役割を与えた。
ドールハウスほどの大きさの立体作品「Nutshell Studies of Unexplained Death」(未解明の死のナットシェル研究)は実際の犯行現場から着想を得ている。米首都ワシントンのホワイトハウス(White House)の向かいにあるレンリックギャラリー(Renwick Gallery)で先月28日まで開催された展示会では現存する全19作品が初めて一般公開された。
一見するとかわいらしいが、身の毛もよだつ悲運にあった人びとの死体も表現しているこの手作りのジオラマは間違いなく恐ろしい。
リーは1962年に死去。ジオラマを作り始めたのは60代になってから。訓練生が先入観を認識し克服する一助になればと、女性や貧しい人など見逃されてしまいがちな被害者を意図的に選んだ。
細部まで極めて精巧に作られているため、新米の犯罪捜査官たちは捜査の科学的な取り組み方、より良い観察の仕方、そして事件現場を保存して証拠を適切に扱うことによって重要証拠を漏れなく考慮に入れることを学んできた。
リーのジオラマは教育効果が高く、現在もメリーランド州ボルティモア(Baltimore)検視局の研修セミナーで使われている。(c)AFP/Sébastien BLANC