仏公会計相にレイプ疑惑、期待の若手 マクロン政権からは擁護の声
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【1月29日 AFP】エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領の政権で期待の若手閣僚として注目されているジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)行動・公会計相(35)が、10年近く前のレイプ疑惑で再捜査の対象となっていることが分かった。マクロン政権内部からは28日、ダルマナン氏を擁護する声が相次いだ。
パリの検察当局は27日、ダルマナン氏がある女性に対し、裁判でこの女性の汚名をすすぐ手助けをする見返りとしてセックスを強要したとされる問題について、再捜査を開始したことを認めた。
渦中の女性、ソフィー・スパッツ(Sophie Spatz)さん(46)は元売春婦で、当初2017年半ばにダルマナン氏を告訴したが、警察の事情聴取に応じなかったため捜査が中止されていた。しかし、ハリウッドの大物プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)氏の疑惑を皮切りに世界中でセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)やレイプの告発が相次ぐ中、スパッツさんは1月中旬に再度、被害届を提出。警察が新たに初期捜査を開始した。
スパッツさんは2009年、元交際相手の男性が絡んだ脅迫事件で受けた執行猶予の判決を覆すため、支援を求めてダルマナン氏に近づいたとされる。仏紙ルモンド(Le Monde)によるとスパッツさんは、ダルマナン氏が助けを求めた自分の体に手を触れて「あなたも私を助けてくれなくてはいけない」と言ったと警察に話している。スパッツさんはこの発言について、セックスするよう圧力を掛けられたと感じたとしている。
ダルマナン氏の代理人は、スパッツさんの訴えはダルマナン氏の評判に「泥を塗ろうとする下品な試み」だと非難した。ダルマナン氏はスパッツさんを名誉毀損(きそん)で訴える意向だという。
ダルマナン氏は元右派議員で昨年、マクロン氏の中道新党「共和国前進(REM)」に参加。政治未経験者の多いマクロン政権で目立った活躍をしている閣僚の一人だ。
進退を問う声に対し、ニコル・ベルべ(Nicole Belloubet)法相は28日、ダルマナン氏は起訴されたわけではないのだから辞任する必要はないとの見方を示した。ステファヌ・トラベール(Stephane Travert)農業・食料相も、「あらゆる他の市民と同じく」有罪が確定するまでは推定無罪の法則が適用されるとしてダルマナン氏を擁護した。エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相は27日の時点で、ダルマナン氏に「全幅の信頼」を置いていると述べていた。
ダルマナン氏は、ラジオ局フランス・アンフォ(France Info)の15日のインタビューで疑惑を全面的に否定。当時、自分は「ただの人」でしかなく、レイプをめぐる主張は「全くのうそ」だと一蹴した一方、これまで数々の浮名を流してきたことや「押しの一手でメールを送ったことが何度かある」ことは認めた。(c)AFP