【1月28日 AFP】米ラスベガス(Las Vegas)のカジノ王、スティーブ・ウィン(Steve Wynn)氏(76)が27日、長年にわたるセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)疑惑が報じられたことを受けて、共和党全国委員会(RNC)の財務委員長を辞任した。

 ウィン氏はドナルド・トランプ(Donald Trump)氏のビジネス上のライバルだったが、トランプ氏が2017年1月に大統領に就任すると、政治的盟友となって共和党全国委員会の財務委員長に就任した。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が26日、ウィン氏のセクハラ疑惑を最初に報じた。ウィン氏は疑惑を否定しており、離婚調停の見直しを求める元妻のエレーン・ウィン(Elaine Wynn)氏が「ひどく不快な訴訟」の一環としてセクハラの告発をあおっていると非難した。

 政治サイト、ポリティコ(Politico)によると、共和党全国委員会のロンナ・ロムニー・マクダニエル(Ronna Romney McDaniel)委員長は27日朝、ウィン氏の辞任についてトランプ大統領と話し合った。トランプ氏は26日夜にスイス・ダボス(Davos)で開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)から帰国したばかりだった。

 マカオ(Macau)でも複数のカジノを経営するギャンブル界の巨人ウィン氏は、共和党に多額の献金を行ってきた。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、既婚者のネイリストの女性は旗艦ホテルのウィン・ラスベガス(Wynn Las Vegas)が2005年にオープンした後まもなく、ウィン氏に性交渉を強いられ、後に示談金として750万ドル(約8億1500万円)を支払われたと主張している。

 ウィン氏は声明で「いつの間にか真実とは無関係に申し立てをすることができる世の中になってしまった。(訴えられた)人は侮辱的なイメージの風化を待つか、何年もかかる訴訟に耐えるほかない」と述べた。

 元従業員たちはウィン氏の権力に加え、ラスベガスでも最高水準の給料の仕事に就いているという意識もあり、ウィン氏にセクハラを要求された時、依存心を感じ萎縮したと話しているとウォールストリート・ジャーナルは伝えた。同氏はウィン氏の現・元従業員150人以上に取材した。

 米国を揺るがしているセクハラスキャンダルで、株式を上場している大企業の最高経営責任者(CEO)や創業者が標的となったのはウィン氏が初めて。ウォールストリート・ジャーナルの報道を受けて、ウィン・リゾーツ(Wynn Resorts)の株価は急落した。(c)AFP